ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

トリップ

休暇に入ってから、おもしろいほど、目つきが違う。青黒いくまは消え、上まぶたのむくみだか腫れだかも引いた。ひさしぶりに全貌を見せた黒目は、こころなしか輝いている。大げさではない。私以上に私の体調を心配する母が「すっきりしたね」と言ったのだか…

海を聴きに

一〇連休に入るのがうれしくて、海を聴きにか、海で眠りにか、退勤後にそのまま出かけた。家族には「海を見てくるから遅くなる」と連絡したが、このあたりのは黒くよどんだ水たまりみたいなもので、観賞には適さない。そもそも私は海がとりたてて好きではな…

私は貧しい

私の家はじゅうぶんに豊かだ。私は、習いごとをいくつも経験し、早いうちに携帯電話を与えられ、毎年のように家族旅行をし、学費を一円も払わずに私立大学を出た。では、この私ひとりではどうか。ひとりで暮らしてゆくとしたら、どうなるか。手取りは二十万…

湯宿にて

温泉施設の食事処にてこれを書いている。はちみつレモンサワーの氷はいまにも溶けきりそうだが、水位はまだ半分を切らない。私は下戸で、飲み残しを引き受けてくれる人は、きょうはない。ひとりで来た。ひとりで食べてもうまいものはうまいと感じる体質なの…

家出

このごろ私の様子がおかしいと母は言った。雰囲気は暗いし、口調はどこかきつい、仕事がつらいのか、と心配そうにしていた。私は、平生の態度について申し訳なく感じていること、仕事はとことん向かないからやめたいこと、いやなところしか見せられないのが…