ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

ベテランペーパードライバー

 運転の話になると、下手そうと必ず言われます。気遣いのできる同級生からは「車に乗っているイメージはない」と、やんわり。そしてそんな優しいもの言いをする人はまれで、ほかには「あ。ってぶつけてそう」「気づかないうちにやってそう。なんかバンパーに血がついてんなって」など、細密にして辛辣な描写が目立ちます。

 実際に、私の運転技術はひどいものです。けれど、運転が下手であることと下手そうであることとは、別々の問題でしょう。車に乗せてみたわけでもないのに、なぜ下手そうという印象を与えるのか、これは大いなる謎です。人命保護の観点からペーパードライバーになることを選んだいま、うまくなりたいとはもはや思わないものの、うまそうだと言われることへの憧れは消え残っています。自動車学校で受けた適性検査には「自分のありのままをだせる人」と書かれましたが、ありのままの私など見なくてよいからこの虚栄心を満たしてくれ、というのが私のありのままの気持ちです。

 「かわいい?」だの「好き?」だの、誘導尋問によって引き出したことばでも嬉しいのだろうか、とテレビドラマを見ながら首をひねったことがありました。いまならわかります。「運転うまそう」と言われたら、きっと嘘でもときめいてしまうから。