ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

上へ?

 思春期が終わりに向かう道筋は、上限を志向しなくなる過程でもありました。レコードに張り合って速く弾こうと躍起になることは、もうありません。一皿になるべくたくさん盛りつけようとするのもやめました。それらはいかにも少年らしい、あまりに素朴な美意識でした。

 常にめいっぱいがんばることがすばらしいと、私ひとりが思わなくなったとしても、世の中のほうは強い一直線の志向をいつまでも有しているようです。よくばりでせっかちなのです。それで路面電車や夜行列車はいまにも消えそうになっています。

 電化製品は、最先端へと突っ走るエネルギーをかたちにしたものです。1ヶ月のアルバイトで、ノートパソコンが買える時代になりました。平たい箱に、あっけないほど薄く軽い身体がおさまっています。98年製のiMacが、幼稚園児には持ち上げられないくらい重かったのを思い出しました。困ったことに、キーボードとタッチパッドの感触も、きわめて軽いです。勢い余って不要な文字列を生成しては削除する、まるで「三歩進んで二歩下がる」のくりかえしで、レポートを書くのがはかどりませんでした。感度もまた、高ければ高いほど快いわけではないのでしょう。