ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

新宿日和

 昼寝から覚めると19時になっているのにがっかりしてふて寝をする夢から覚めると、まだぎりぎり夕方でした。必死さが伝わらない、と家族が見たら言ったであろう速度で、私なりに急いで支度をして出かけ、閉店間際の伊勢丹に着きました。

 本店に足を踏み入れるのは半年ぶりのことです。ガラスの向こうに見えるショコラティエが、バレンタインのころとはうってかわって空いています。別館の6階で受け取った、片面だけ群青色をした紙袋を提げながら、はにかみで私を悩殺する椎名林檎が歌った季節とは反対の温度を体感しているな、ととりとめもなく思いました。冷気を突き刺してくるのは伊勢丹のほうで、八月の息は熱っぽい。ふたつの衝突地点はあまりに寒く暑いから、だれかを思い出すほど頭がはっきりしません。

 帰りがけ、ニューアートに寄ってみようか、迷って、やめました。緊張しながら扉を抜けるのも、見とれて息をつくのも、買いもので味わったぶんでいっぱいでした。ストリップショーを観るにも、贈りものを選ぶにも、ここでは不慣れな土地を歩くみたいにかたくなってしまうから、訪れるなら一日にひとつずつです。乗換駅のあるこの街はひどく雑然としていて、こちらの解像度が追いつかず、何百回と降り立ったいまも、私のなかで非日常の顔をしています。

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