ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

いっしょに棲もう

 「同棲」「愛の巣」の「棲」や「巣」のあたりに、どうぶつじみたものを感じます。どこかみっともなくてかわいいやつらです。ちいさなものたちが、なまなましく、懸命に息をつくさまをとらえた語であるように思われます。ただし、答え合わせをしてみないから、その実際は未知数です。熱病の別名である恋を解剖して取り出したことばなのだと決め込んでいます。当人たちは大真面目でも、はたから見ると気恥ずかしかったり滑稽に映ったりするのが世の常だから、おたがいさまとして患者どうし許しあってゆきたいところです。

 暮らしのなかに優雅なひとときをもつのは望ましいことだけれど、どの瞬間もひとしく優雅な暮らしというのはどこにもありません。人のいのちは優雅なものたりえないからです。お手洗いは水洗式で、食肉はパック詰めされたものがスーパーで手に入り、産まれ死ぬところが家庭から病院に移ったいまでも、ごはんにしたりおふろにしたりをくりかえすうちに、靴底は減り、排水口はぬめり、シーツに毛玉ができます。

 「愛はフォトジェニックだ。」というキャッチコピーがほんとうなら私は愛を知りません。とけそうに笑っている顔はファインダーを隔てずにおさめたいのです。

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