ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

抱かれるなど

 「抱きしめてもらえるマシュマロ肌」になりたくて求めるのではないのだ、とげんなりしつつ、それなしには越冬できないので、今月もニベアを買い足しました。なんだか「もらえる」のところがいやです。条件つきで抱きしめられるのも、抱きしめられるためにおあつらえのからだになるのも、抱きしめられるのを待つのもおもしろくありません。

 抱きしめてもらえる、がよいことのように謳われるこの国で女として生きながら、受け身の助動詞から逃れようとするなら、見えない力との闘争を覚悟せねばなりません。なにを拒みたいのか伝えきれず、だれに伝えるべきかもわからず、長いことじたばたしたものです。そうしてようやく、ゆたかな暮らしを得ました。どちらともなく、出かけたいほうが誘い、ゆとりのあるほうがごちそうし、あしたの朝の早くないほうが駅まで送る、行き当たりばったりの散歩がこの上なくここちよいのです。

 もう古いコマーシャルになりますが、よろこびをたたえた笑顔で自分の肌をいたわる吉瀬美智子のほうが、私はずっと好きでした。私のからだはどこまでも私のものです。日焼けと細かな傷の残るうつくしくない腕で、抱きしめたいものを抱きしめるだけです。