ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

ほほえみ

 昨日の夜から、さっき家を出るまで、さんざんでした。なにもしなかったのです。なにもしない時間は好きですが、なにもするまいと決めてなにもしないのが贅沢なのであって、なにかしなければと思いつめたのち、なにもしなかったと振り返るのは苦役にひとしいものです。帰ってなにげなく目を閉じたら、いくつかの約束と宿題をすっぽかして、今日の昼になっていました。

 雨が上がったところで、街はずれのカフェまで自転車を飛ばしました。いつもならスピードを緩めずにのぼりきれる坂で、肺のあたりがつぶれそうでした。自身の能力の限界に気づいた私は、選考に進む企業の数を、すっぱりと減らすことにしました。これまでに仕上げた書類のコピーを読み返すと、自身の生涯と対峙しただけあって、むこうにひとりの人間がいるというなまなましい感触にだけは自信が持てました。ですからこのまま、ゆっくり、じっくり歩くことに決めました。

 店員さんの笑顔がすてきで、そのことを書きたいと思い立って、いま、こうしています。これからいくつの恋をしても、あるいはひとりを愛しぬくことができたとしても、だれかれかまわず、とびきりのほほえみに、私は死ぬまでどぎまぎしてへどもどするのだろうな。