ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

散髪記念日

 前髪は横分けにし額および眉を露出させよ、という暗黙の規定なき世界に帰ってすぐ、その前髪をざくざくとがたがたに切りました。スーツを着る必要もなくなったので、油断してパーカーにジーンズで親友を待っていると、彼女は深い色のワンピースにパンプスといういでたちで現れて私をどぎまぎさせ、私は恥ずかしくなりながら次のデートまでにふさわしい服装を考えようと心に誓ったのでした。

 就職活動を終えると、院に行きたかった気持ちは、さっぱり霧消していました。選ばなかったほうへの未練は、選びぬいたほうへの愛着に転じたようです。したいようにすることと、会社勤めとは矛盾しない。私はそんな会社を見つけ出し、そのなかの人々に見出されたと思っています。

 家族は私の進路に口出しをしません。「将来こうしてほしいというような希望は一切ない」と母は就活中の私に聞かせ、私は「言われたところで聞かないのもご存じだと思う」と答え、すると返ってきたのは、満足げな「それはよかった」のひとことでした。私の人生を私のものにしてくれた家族を愛しています。家を出たら、このことを伝えられるようになるのかな。