ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

あなたのためではないのだからね

 すべての行為は本質的にひとりよがりであると半ば信じているので、「あなたのために」をありがたく受けとることは難しく思われます。したがって、詞がよいからという理由で愛聴するラブソングは多くありません。献身的な愛を歌うなら、「聖母たちのララバイ」ほどおおげさにやってくれると、これは消費者の妄想に奉仕する神話だと割り切って読みやすくなります。

 私は決して私のためには生きない人を愛します。私が聞きたいのは「しあわせにするよ」ではなく「しあわせだなあ」であり、もうひとつは「あなたのために」ではなく「こうしたいから」です。差し出されるばかりでは困ります。返礼を求められるのも、そちらからはなにもいらないと断られるのも、受けつけません。私は、会いたい人に会うとき、私が会いたいから会うのです。相手のためにというすり替えは行いません。私は私といたいという人に私といてほしいのです。

 したいようにする、してほしい、とは言いながら、所有欲の奴隷である私には、人に押しつけた約束があります。「もし大事故や天災に遭ったら、ほかのだれがどうなろうと差し置いて、あなただけは生き延びなければならない」。身のほど知らずの切実なる頼みごとです。

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