ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

プロポーズ

 私はそのうち結婚するでしょう。それは制度の恩恵に浴するためかもしれませんし、説明の手間を省くためかもしれません。いずれにせよ、相手の希望を叶えるためという意味も含んでいれば望ましいと思います。結婚とは、愛情ではなくだいいちに生活の問題であると知ったいま、「あなたは結婚をしたいですか?」という質問には答えられません。そのような問いは「保険に加入したいですか?」みたいなもので、したいかしたくないかだけで決める話ではない、としか言えないのです。

 結婚は制度ですから、プロポーズはすなわち契約です。契約のことばで、これほど装飾を施されるものはほかにないでしょう。せりふはもとより、周辺の演出にまで工夫を凝らすところを想像すると、お祭り騒ぎじみた楽しさを感じます。なかには、プロポーズを衆目に晒したり、発したことばをのちに公開したりする人もあるようです。これでは契約が成立しないと私は考えます。告白のことばと記憶は、ふたりの占有するところでないといやなのです。「なんとプロポーズした/されたのですか?」に対しては、「お聞きになりたいのなら、プロポーズさせてみてください」とはぐらかす人を、私は配偶者とするつもりです。