ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

共同生活

 映画「レオン」のDVDジャケットに書かれた紹介文のなかで私の目を引いたのは「奇妙な共同生活」ということばでしたが、そもそも共同生活というものはおしなべて奇妙です。私にとってそれは、ベッドを分割して狭くするみたいに、互いの領分を侵すいとなみをさします。

 私が家族との同居に不愉快を覚えないのは、産まれたころからその状態にあって、すっかり慣れているせいでしょう。このほかの人はみな、いくら親しかろうと、私の部屋にいるならばお客様か闖入者にすぎません。そしてそのふたつは同義であり、さらに言い換えれば他人です。他人と垢じみた生活を共有してゆくことを想像すると、息がつまります。それでも私は、いずれ奇妙な共同生活に身を投げるつもりです。生活に闖入者を招き、また同時に他人の生活に闖入するという得体の知れない試みは、困難を伴うでしょうけれど、ままならないところにこそおもしろみもあると踏んでいます。

 諸先輩の暮らしぶりを見るに、生活をともにしたふたりは、やがて領分の侵しあいを越え、互いの存在が互いの領分そのものとなるらしいのです。そのような不可思議が、わが身にも降りかかってくる未来を、私はまだひとりの部屋で待っています。