ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

感じやすい人

 母によると、幼い私は「極端に死をおそれていた」そうです。それは自身の記憶にないほど遠い昔の話ですが、小学生のころ、私はなにかの病気ではないかとおびえていたことと、大人になりたくなくて泣いていたこと、中学生になってから、変わりゆく身体がきもちわるくてしかたなかったことはうっすらと覚えています。したがって、私が強すぎる感受性をもてあますのは、ほとんど生まれつきということになります。

 私を優しいとも冷たいとも、おおらかとも気難しいとも評する人があるのは、おそらくこのためだろうということに、母と話していて思い当たりました。私は世間(たとえば飲み会やバラエティ番組)の求める強度に達しない、破れやすい皮膚の持ち主であるようです。ゆえに、他者のそれに爪を立てる趣味もなければ、撫でる気遣いも見せません。さわらずにおくこと、つまり、人の心をわかろうとしたり、わかると思いなしたりしないことしか、私にはできないのです。

 私をこの上なくおしゃべりにする、稀有な話し相手である妹は、姉を「人間に向かない」ものと見なしており、うなずく私は宇宙人です。ただし、私と愛する人との距離は、別の惑星と地球よりは近く、縁側にやってくる猫と家の主人とのあいだくらいに保っておきます。