ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

式の後日

 内定式を終えると微熱が出ていました。サロメを演じる土屋太鳳を観にゆくのはあきらめて、映画のチケット代は、ブイヤベースの素と早生みかんになりました。アルバイトから帰り、布団にうずもれると、これまでに「きみに会社勤めは向いていない」と言った、両手で数えきれないほどの大人たちの顔がちらつきました。

 おとといは、壇上から「成功は結婚相手にかかっている」だの「日本人の英語のだめなところは」だのと聞こえてくるから、まいりました。その場には韓国出身の内定者もいたのに、あんまりにあんまりでした。しかし私はただちに散文的な性質を取り戻し、業務に支障さえ出なければ想像力の欠如は許容される、と先の挨拶を解釈しなおしました。それから、会社員になったところで社会人とは名乗るまいと決めました。自身が日本社会の成員であることを忘れておきたいのです。

 式と名のつくものはすべて、くたくたになりにゆくようなものとしか思われず、それは内定式も同じでした。私はいつまでもかしこまった席に引きずり出された子どもですが、笑いをこらえたりあくびをかみころしたりするのが上手なので、ときになにかの間違いで優秀だと評されます。今後とも間違いが起こり、そのために多少の不躾なふるまいは見過ごされることを願います。