ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

女装する女

 昨日は女装をして、つまりスカートを穿いて人に会いました。その人の「女装も似合うね」は、私を落ち着かせ、いくぶん得意にしました。私にとって女装とは「どこかむずむずする、ふだんはしないかっこう」です。

 私はまぎれもなく女性のからだの持ち主であり、そのことに納得こそすれ満足はしませんが、かといって男性になりたいのかといえばそうでもなくて、さらには中性的なふるまいをこころがけているわけでもありません(私には「女性/男性らしさ」なるものを分ける皮膚感覚が欠如していますから、「中性的」とされる特徴をとらえるのもまた不可能です)。私は硬直した役割分担を引き受けた半生に疲れ、女性でも男性でもなく、無性の存在になることを夢見ています。あるいは人間以外の種です。ヤドカリやクラゲを見かけたとき、雄なのか雌なのかということを真っ先に関心の対象とする人は少ないでしょう。それから植物も大いにけっこうです。

 書面に自身の性別を記すとき、用意されているなら「未回答」や「その他」を選びます。私は私がなにものであるかを私自身の手によってさえも決めつけたくないうえに、そもそも確信をもたないからです。そのときの気分に応じて、女のふりをし、男の役をし、猫のまねごとをし、宇宙人に戻りたいだけなのです。