ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

移住計画

 セーラー服を焼却し、あらゆるアプリケーションの通知を無効にし、バイセクシャルを公言し、というふうに、矯正と順応のための努力をなげうってからのことです。私は目に見えて身軽に上天気になり、「タイプだ」といういたずらな挨拶を述べる女の子たちさえあらわれました。きらわれまいとつとめなくなった私は、望んだ人にだけはいっそう好かれるのでした。つまり、躾のゆきとどいた子をかたどった着ぐるみのなかで息を止めた思春期は、苦味のきいた喜劇だったといえましょう。ただし、私の仮装はかなりずさんだったようで、縫い目のほつれに気づいて、にやにやしながらこちらを覗きこんできた人々を、いまも友達や恩師と呼びます。

 現在の私は、どこでも、だれとでもうまくやってゆくことに価値を見出しません。裸でうろついても罰せられない浜辺と眉をひそめない同居人とを探し当て、そのほかからは存分に顰蹙を買うことにしたのです。われわれ、ふたり連れの宇宙人は、いつか移り住むべき星について相談しました。相手は「人種のるつぼになっているところ」を、私は「人よりも猫や羊のほうが多いところ」を推しました。この散漫な議論は曲がりくねってつづき、Amazonのドローンが配達に来てくれる無人島で暮らそうと請けあってついに収束したのでした。