ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

変身薬ピル

 双方の合意にもとづく性交が招いた望まない妊娠の責任は男性にある、とする態度を私は了解しかねます。なお、当記事のねらいは、他人たちの織りなす個別の事象に立ち入ることでも、「どちらも悪い」と騒ぎたてることでもありません。ただ、責任の免除、言い換えれば決定権の放棄にはがまんならないと感じない女性はふしぎです。一夜ばかりか将来にわたって内臓を圧迫するおそれは、ふたりして排すれば心安いでしょう。

 月経は、人間が発現してしまった当初から引きずっている、設計上の誤謬です。この共同体にあって「女性としての成熟」や「生命の誕生」を祝福するポーズを見聞きしなかった日はないといってよいほどですけれど、それらの神話は、嘔吐や失神をありがたがる動機にはなりません。そこで、きたるべき日を正確に予定し、不愉快を緩和するために、私は低用量ピルを服用します。これはむしろ確実な避妊の手段として知れ渡っていますが、つきあうべき友人を間違えないので、「薬を飲んでまで男遊びをしたいか」といった中傷と私は無縁です。

 ピルの効能は、からだおよびからだの奴隷たるこころの解放と、「女性は受け身にならざるをえない」という命題の破棄です。かつての私はこれを真であると読み誤り、凸型への変態を望みましたが、実際のところ、形而下の末端がそれほどの権限を有するはずはありません。