ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

誤読

 「交際相手に浮気をされた」という事実のみから、相手の申し開きに耳を貸すことなく「自身に魅力がないからだ」「相手に愛情がないからだ」などの因果関係を導き出す、といったような思考法の突飛さあるいは愚劣さについては、以前にも書きました。私はこの手の、ある行為や結果の意味を外部から押しつける話法と、思い込みか受け売りを述べるさいに発揮される断定口調とをひどくきらっていますが、それらは、社交の文脈においてはとくに、残念ながらありふれています。

 さて、「連絡が遅いのは関心がないからだ」に代表される方程式を用いて、私と最愛の人との関係を解いてみましょう。互いに、短い返信に数日を要することなどざらですから、定理によれば仲が冷えきっていることは明らかです。けれどつづけましょう。どうやら、私たちは互いを(服装に特段の配慮をしないから)喜ばせる気概がなく、(両親に会わせたことがないから)真剣に思いやらず、(通話より睡眠時間を欲するから)特別な存在として認めてもいないようだ、と仮定することができました。答え合わせはしてみるまでもありません。

 相手の思うところはひとこと相手にたずねたらよろしく、ほかに知りようもないというのに、依然として、誤読と妄想をめぐる喜劇は人々を引き裂くらしいのです。