ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

すごいおっぱい

 この人もそうであるのか? 女性に性的魅力を感じ、かつ自身も女性として生活していると、こんな疑問がふと頭をよぎります。たとえば、目の前の話し相手が女性で、同性を熱っぽくほめているときにです。その話し相手が「女の私でも惚れてしまう」「私/彼女が男だったら」などと口にした場合は、おそらく「そう」ではないということになりましょう。カモフラージュの可能性もありますが、他人の隠したがる顔を暴く趣味はなく、したがって、どうでもよろしいことです。私は他人の性指向を把握したいのではありません。

 問題は、私が好みの女の子をほめたたえてもその人はかまわないのか、ということにつきます。「ちょっと好きそうなそぶりを見せたから、いっしょに愛を叫ぼうとしたところ、『私はそういうんじゃないよ』と返ってきた」という事態を、私は行住座臥おそれているのです。

 アルバイト先の休憩室にて、テレビに映るタレントを指さしながら、先輩が「見てこれ、すごいおっぱい」と言いました。その刹那、「すごいおっぱい」にもよおした劣情や畏敬の念について述べるのはたやすいことでしたけれど、私はあらんかぎりの社会性を動員し、これを封じました。なんと答えるべきだったか、いまでもわからず、なんと答えたか覚えてもいません。