ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

手紙

 二三歳になってはじめての夜更けを迎えた。私は連休明けの生まれだ。ついでに、心身ともに丈夫ではなく、なにもしない時間をこよなく愛している。それで誕生日前夜、すなわち出勤前夜は気がめいり、誕生日のことなどすっかり忘れてしまう(もとより日付というものに関心をもたないほうだ)。家族が祝ってくれたおかげで、かろうじてこれを書きとめている。

 週末、乾杯のあと、最愛の宇宙人から手紙を受け取った。目もとと頰と喉の奥をいっぺんに熱くしながら読んだ。文中に「無邪気」「聡明」などとあったのは、嬉しく、気恥ずかしくもあった。評価の妥当性を問いなおしてもかまわないけれど、彼がそう書いたということが、私にとってはすべてだ。大人のなかには、ものを言わず、知らず、考えないことを、無邪気あるいは無垢と呼ぶものがある。しかし、私が築き上げ、彼と分かちあう文法と、それは異なる。私に無邪気とか聡明とか言った、ほんとうに無邪気で聡明な宇宙人は、自身の感覚には素直で、決まりきったしくみには疑いを投げかける人だ。「かわいげのない」彼はこの上なく魅惑的だ。

 じきに夜が明ける。二三歳の私はふたたび目を覚まし、バスの窓際で、開店直後のカフェで、何度でも手紙をひらくだろう。