ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

 先月のことだった。精神の成長が止まった、とふいに思った。十代のころ、そのうちのいつだったかは記憶にないが、もう身長は一生伸びない、と、なにか明るくしずかに絶望した年があった、あの感じがした。

 私は焦った。杞憂にすぎないのかもしれない、あるいは、そんなものはとうに頭打ちになっているのかもしれない。事実は確かめようがない。ただこの感覚を振り払いたかったから、なぜそんなふうに思うのかと自問した。おそらく疲れているのだ。睡眠不足、窓のない会議室、ふつうのいい人たち(だれということはなく、一方向へうごめく集合体のことを言っている)との摩擦、それらのくりかえしからなる五日間。および、この生活が永続するのではないかというおそれ。閉塞。そのせいでまともに頭が働かないのではないか?

 今月に入って原因を突き止めた。手帳の、カレンダーの隣にある縦長のメモ欄が、四月はまっさらだった。ふだんはそこに、読んだ本や譜読みをした曲の題を書きとめている。こんなことは、大学にいるあいだ、いちどもなかったのだ。あたらしいことばの摂取を怠って、私は栄養失調と呼吸困難に陥っていたらしい。それできのう、閉館間際の図書館に駆け込み、いま、手帳の隅には短い走り書きが躍っている。