ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

組合

 脅迫めいた勧誘を受けて以来、労働組合には入らないと決めている。先月の昼休み、組合員は親しげな笑みを顔に貼りつけ、突如として私に近寄り、まだ迷っているのか、というようなことを言ったのだった。加入の意思はないと私は告げた。「会費を払わずに恩恵だけ受けることに罪悪感はないのか」「会社となにかあったらひとりで戦うのか」と尋問はつづいた。「ありません」「辞めます」とだけ答えると、組合員は目に見えて動揺し、「決心は固いようですね」と吐き捨てて去った。

 組合に加入していない新入社員はほかにもいたが、組合員は私を目がけ、狙いを外したのだった。歳下の女だから見くびられたのだ、とこぼすと、男性社員たちは「そんなことはない」と驚いたり笑ったりした。私は彼らが属性によって私を軽んじないことを喜び、彼らの属性によって軽んじられた経験に乏しいことを羨む。

 私の直観も立腹も、被害妄想ではなかった。組合を脱退すべく事務所に出向いた同僚は、「女の子がひとりで来るなんて勇気があるね」と迎えられたそうだ。すなわち、あの組合員は「女の子」に対する自身の優位性を認識したうえで利用し(ようとして失敗し)た。そのうえ、労働組合の事務所は「勇気」をもって行かねばならないところである、と公言するなど笑止の沙汰だ。