ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

家出

 このごろ私の様子がおかしいと母は言った。雰囲気は暗いし、口調はどこかきつい、仕事がつらいのか、と心配そうにしていた。私は、平生の態度について申し訳なく感じていること、仕事はとことん向かないからやめたいこと、いやなところしか見せられないのがいやで、いつもひとりになりたいこと、などを告げた。むろん、母は私に罪悪感を抱かせたくてこのことを言い出したのではない。しかも、娘たちと過ごす時間を好んでいる。私のほうは、母を落ち込ませたとのかどでひどく落ち込み、私たちはふたりしてかわいそうだと思った。

 早く家を出るべきだ。家族は私を見れば弱っているのがわかって傷つく。私は見せたくないものを見られることで傷つく。私のもつ殻は、かたい上に脆い。私は、私の気分やふるまいが他人の目にふれ、影響を与えるという事実、またそれが持続する共同生活という形態に耐えられない。ひとまず、この週末だけでも遠くに出かけることにした。母はその計画に賛成した。

 私と最愛の宇宙人との関係は良好そのものである。当然のことだ。愛しあうものたちが週末の駅前に集い、観光客よろしく上澄みをすくって舐めるみたいに遊んでいるだけなのだから、つまりは生活をともにしていないのだから、それで険悪になるほうが難しい。