ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

投薬

 適応障害、軽度のうつ症状、と診断された。その名がいかなる意味をもつか、私に正しく把握するすべはないが、心療内科医がそう言うのだから、そういうことらしい。とにかく会社を休みたいのですが、休むのもこわいです、としどろもどろになりながら、心身にあらわれる不調を書きとめたメモを差し出し、いくつかの質問に答え終えたとき、私は病人になっていた。このことには驚きも悲しみも安らぎも覚えない。気がかりなのは、この失望からいつ抜けだせるかということだけだ。

 ほぼ予期したとおりの、承知しているつもりではあったものの認めがたい事実を聞いた──単に会社をやめるだけでは問題は解決しにくい。さいわいなことに症状は軽いから、いちど環境に慣れるよう努めてみるのが望ましい──それで明日は出社することに決まった。そのとき、やはりやめてはならないのですね、と落胆するみずからに遭遇した。私は休養の許可を欲していたのかもしれない。とかく、このやりきれない閉塞感も一過性の症状にすぎないと信じ、朝六時半の電車に乗るほかない。

 騙されたと思って飲んでみて、と、気分がよくなるという薬を処方された。私のこころもからだも、私の所有物でありながら、私の統制下にはないということを強烈に意識した。すっかり騙してほしいと思う。