ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

ふしぎ

 「いわゆるナンパに遭遇した経験がある」と、月日を隔てたかのような過去形に封じ込めてひとつ前の記事を書き上げたものの、その「いわゆるナンパ」に、私が最後に巻き込まれたのは、ついきのうのことである。書きつけたところで溜飲は下がらず、最愛の宇宙人に電話をかけた。考えるのが好きな人である。私をからめとった理不尽や不可解について、ともにふしぎがる。どうしてだろうね、と、まじめな顔をして私の隣に立つ。

 傘を盗まれたような気分だと私は説明した。つまり、屋外の傘立てを使わないとか、派手な柄のものを持つとか、対策を講じることは可能であるけれど、それをせねばならないことに慣れない。他人に害をなすもののために行動を改めるのも、他人に害をなすものが存在するという前提のもとに暮らすのも、まっぴらだ。夜道を歩かないとか薄着しないとか、こっちが実装するのへんじゃんね、とつづける私に、彼は「それ、七不思議のひとつだよね」と、深くうなずくときの声色でこたえた。

 ほかにもさまざまの話をして、世界は問題だらけだ、とふたりして寝ぼけながらつぶやき、通話が終了したのちも、むろん事件にはなんの解決ももたらされなかったのだが、私は問いの答えではなく問いつづける人がそばにほしかったから、きのうのところはそれでよかった。