ひらログ

おひまつぶしにどうぞ。

ロレーンとデルフィーヌ

 南の窓際に置かれたソファで仰向けになり、干したての布団と同じ温度の毛むくじゃらを腹にのせてこれを書いている。キジトラ猫のデルフィーヌである。実家には二匹の保護猫を迎えたばかりだ。もう一匹は、三毛のロレーン。ロレーンとデルフィーヌというのは私だけが心ひそかに割り当てたコードネームであって、本名はまた別にある。猫カフェ出身の彼女らには熱烈なファンが多いものだから、わが隠れ家たるここでは伏せておく。

 デルフィーヌはたいへんな寂しがりで、人間を枕がわりにして一日の大半を過ごす。おねだりを聞き入れるまで止まない鳴き声に、えてして家族は屈してしまう。さっきは、餌を煮詰めたようなにおいのするざらついた舌で、私の唇を執拗に舐めまわしていた。ロレーンは人間の膝の上などには登ってこない。気が向いたときだけ、頭を強くこすりつけ、差し伸べられた手を甘噛みし、撫でられるのに飽きるとまた走り去ってゆく。さりとて孤独を好むわけでもなさそうで、私をつけまわし、隣の椅子で丸くなることもしょっちゅうだ。

 二匹が来て、家族の最大の関心事はこの二匹となった。そのことが快い。私でないものに没頭する存在となら、ともに心安く暮らせるということを知った。ロレーンとデルフィーヌのながらえることを祈る。